下駄箱
日本と西欧文化の違い
新型コロナウィールスの感染者数を見ると、日本は欧米各国など西欧文化の国と比較すると圧倒的に少ない。その理由の一つとして指摘されているのが、日本人の清潔好きである。
外出から家に戻ると手を洗う習慣があるのも清潔を保つためである。
外出する機会が少なく、テレビの前で過ごす時間が多くなった。ケーブルテレビでイギリスの刑事物を見て過ごすことが多い。日本とイギリスの生活習慣の違いを見ながら刑事ドラマを楽しんでいる。一番大きな違いは、日本では家の中では靴を脱ぐことである。そのために玄関には下駄箱が置かれている。
ところが、室内でも靴を履くイギリスには下駄箱がない。下の写真は刑事が捜査のために訪れた家の玄関口である。家の中と外には、あまり段差がない。
下の写真は、刑事が靴を履いたまま自宅のソファーの上で寝そべっている風景である。日本では、まず考えられない習慣である。電車の中で幼児が座席に座ると、親は靴を脱がせることが多い。
日本ではなぜ家の中では靴を脱ぐのか。気候を理由にする説がある。日本は高温多湿な気候のため縁の下を作らなければ、床が湿気で湿る。そのため、必然的に外と家の中では段差が出来る。平安時代の絵巻物にも、貴族は床のある家に住んでいた姿が描かれているそうだ。
私の古い生家は、玄関の障子戸を開けると「たたき」があった。そこは土足が許される。家に上がる時に下駄や草履を脱ぐ。小学校までは藁草履で通学した。雨の日は下駄をはいた。汚れた足を洗う桶もあったように記憶している。下の写真は、上がり框(かまち)といわれる。靴を履くようになったのは高校からである。
尤も、外国では常に家の中で靴を履いているわけではない。1992年1月、アメリカのデトロイトに赴任した時、親しくしていた人の家に招かれたことがある。その日は雪で靴が汚れていた。玄関にはスリッパが置かれていた。靴カバーというものもあった。雪の日などは、靴にゴム製のカバーをはめる。家に戻るとカバーを外して生活する。
最後におまけの写真を掲げる。ソファーに刑事が寝そべっていた家の中に置かれていた。時代は1980年代である。日本の家電製品が世界で活躍していた時代でもある。
髙田忍(2020,7,10)