わからないことは質問しよう
市民公開講座に参加して
髙田 忍
「加齢黄斑変性の理解を深める1時間」が12月15日に開催された。WEBによる市民公開講座で、患者、家族、医療関係者など全国から約千人が参加した。テーマは「加齢黄斑変性とうまく付き合うために」で、関西医大山田晴彦先生の総合司会で進められた。
前半は兵庫医大、五味文先生の講演、後半のパネルディスカッションには髙田が招かれた。初めに自己紹介として、治療履歴、患者会の存在意義、患者会との関わるに至った動機を語り、山田先生の質問に答える形式で進められた。
医師とのコミュニケーション
わからないことは質問するようにしている。例えば、注射を受ける際、四つある薬の中で、なぜ、その薬を選んだのか、新しい薬が出たときは、その扱い、即ち治療薬としてすぐに使うのか、しばらく様子を見るのかについて医師に考えを聞く。
眼底写真と断層写真のプリントを毎回もらい、アルバムにしている。注射の時は納得して受けるようにしている。先生は顔を覚えてくれ、コミュニケーションはよくなる。
医師との関係に関するアンケートのコメント
不満が四分の一ほどある。これは断層写真や眼底写真を頼んでも、渡してくれない医師があるためではないか。診察を受ける際、ご夫婦で受ければ、内容もよく理解できるし、二人で頼めば、医師の態度が変わる可能性がある。診察室に付き添いの人も入って、医師の説明を納得いくまで聞く。
病気との付き合い方
発症した2014年9月にiPS細胞の臨床研究が発表された。テレビや新聞が一斉に報道した。判で押したように、加齢黄斑変性の前に枕詞のように「失明の怖れ」がついていた。記事を書いた人が、どのような思いで「失明」という言葉を使ったかわからない。全く暗闇の世界か、多少は光を感じるのか。この言葉を聞いて不安に思った。
失明するなら見えるうちに美しいものを見ておこうと、心に決め「春には桜、秋には紅葉」で各地を旅行した。
幸い、早期発見早期治療のおかげで、車の運転ができる。今年も愛知県まで行った。正し夜間は対向車のライトがまぶしくて避けている。
会報誌「友の会ニュース」は楽しみながら作っている。
社会の理解
目の病気といえば、緑内障や白内障は、その原因や見え方を知らないとしても大半の人は病名を知っている。しかし、加齢黄斑変性は病名すら知られていない。
まして、「目に注射」と聞くと不安になる。そこで、医師に依頼して自分が注射を受けるとき、消毒、麻酔、注射、眼帯など一連の手術経過をカメラで撮影し、ホームページに掲載した。これまでに十数万件の閲覧があり、社会の理解を深めるよう務めた。
患者会活動
2015年に約二十名で活動を開始した友の会は今では約百名に増えた。患者会の目的である「医師から聞くことのできない患者ならではの体験の共有」に力を入れてきた。「私の体験談」を第4週まで発行した。会報誌「友の会ニュース」は年四回発行している。対面での交流のため、定例会での講演や音楽会、歩こう会、最近は温泉旅行も始めた。また全国の会員の交流の場として、Zoomによるオンライン交流を行っている。お互いに顔見知りになっている。今回の催しのような情報を迅速に伝えるため、メールを活用している。